未来にいがた県議団は、「新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望」をまとめ、本日、花角知事に提出し意見交換を行った。要望内容は下記の通り。

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(写真提供:三条新聞)

【医療体制の強化について】

1.帰国者・接触者相談センター(保健所)に加え、地域外来・検査センター等民間の検査機関とも適切に役割分担しながら、PCR検査体制を増強すること。

2.現状、新潟県内の感染症指定医療機関は6病院となっているが、感染者の増加時には対応できない。感染者の増加に備え、他の病院においても確実な感染予防対策を施すなどして、感染症対応病床の増床を図ること。

3.軽症者等についてはホテル等を借り上げて隔離しているが、当該施設においては、感染の拡大防止と周辺住民の不安を払拭するため、疫学知識のある者が的確な診療・指導を行う体制を確保すること。

4.高齢者の介護施設等での集団感染が各地で発生し、重症化や死亡につながりかねないことから、介護施設の個室化(国から100%補助)の促進と、濃厚接触が避けられない職員への感染防止対策の強化を図り、介護サービス基盤の崩壊を防ぐこと。

 

【保健所の体制強化について】

1.感染症など公衆衛生における地域の拠点であり、感染確認の窓口である「帰国者・接触者相談センター」が設置されている保健所に対し、必要とする予算の確保と保健師の増員を速やかに行うこと。また、感染症対策に必要な予算は、国に予算措置を強く要望すること。

2.保健所における相談対応は24時間体制で行っているが、相談には専門的知識を有する保健師の応対が必要なため、退職した保健師を雇用するなど増員を図ること。

 

【医療人材の確保について】

1.地域外来・検査センターの設置や、ホテル等の待機隔離者対応に必要となる医療従事者について、県が責任を持って確保すること。

2.既存の医療機関の機能低下とならないよう、離職中の看護師、准看護師、または医療従事者OB・OGの積極的な協力を得ること。

3.医師や看護師など医療従事者の特殊勤務手当は極めて低額であることから、新型コロナウイルス対策の重要性に鑑み、大幅な増額に努めること。

4.来年度以降の医療スタッフの確保に向け、看護師をはじめとする医療系専門学校の柔軟な運営を国に働きかけること。特に実習先確保に困難が予想されることから、必要な経験を積むことができる対策を講じること。

 

【医療資機材の確保について】

1.マスク、ゴーグル、フェイスシールド、長袖ガウン、防護服、及び消毒用アルコールが絶対的に不足している。これらの資機材を早急に確保し、県内医療機関に不足のないよう配布すること。

2.医療資機材の調達が困難な場合は、織物・ニットメーカーにはマスク、モノづくり企業には人工呼吸器やフェイスガード、酒造メーカーには高濃度のアルコールなど、県内企業に支援し製造を働きかけること。

3.「災害時における物資供給に関する協定」を締結している企業等に資機材の在庫・数量の報告を求め、必要資機材の提供協力を求めること。また、資機材の確保が困難な場合は、必要最小限の範囲で「新型インフルエンザ等対策特別措置法」第55条を適用し、必要な物資の売渡し要請、収用等を行い資機材の確保を図ること。

 

【経済対策について】

1.県内企業への影響は広がりつつあり、今後深刻さが増す可能性が高い。県による支援は、現在実施されているものにとどまることなく、実態を把握しながら継続的に実施していくこと。

2.国に対し交付金の増額を求め、窮地に追い込まれている県内産業への支援を強化すること。

3.県産食材については、高価格帯の消費が滞るなど課題を抱えている。県産食材の流通の現状について十分把握するとともに、他県の事例を参考にしながら、既に県が立ち上げている「新潟県産食材応援サイト」のリニューアルを図るなど流通促進を支援すること。

4.県の休業要請に対する協力金について、市町村が上乗せしている場合はワンストップで申請できるよう当該市町村と連携を図ること。

  

【雇用対策について】

1.新型コロナウイルスを理由に、正規・非正規問わず労働者を解雇することのないよう、「労働契約法第16条」を遵守するよう県内企業を指導するなど対策を強化すること。

2.雇用維持のために雇用調整助成金の特例措置が実施されているが、日常の適正な労務管理の実施等が前提であるため助成金の申請ができない事例も少なくない。県としても雇用維持対策を検討するとともに、真に雇用が維持される方策を国に働きかけること。

3.新型コロナウイルスが原因の事業縮小で従業員を休業させた場合、十分な休業手当が支給されるよう、雇用調整助成金の助成率10割への引き上げと対象範囲の拡大、手続きの簡素化による早期支給を国に求めること。

 

【生活困窮者対策について】

1.新型コロナウイルス問題に伴う生活困窮者に対する家賃補償のほか、所得税・住民税、社会保険料、公共料金の免除や支払い猶予等を国に求めると同時に、県としても対応すること。

2.バイトができなくなった学生に対する授業料の減免措置のほか生活費支援、また、奨学金の返済猶予等についても国に対策を求めると同時に、県としても対応すること。

 

【学習環境の整備について】

1.学校の休業は3月の臨時休校に続き今回の休校と長期にわたっており、今後についても予断を許さない状況にある。児童生徒に対する休校中の課題は各学校や各教育委員会に任されているようであるが、全県の児童生徒の学習に及ぶ問題であり、県教育委員会として授業動画の制作等の支援を行うこと。

  

【情報発信等について】

1.新型コロナウイルス感染症に関する誤解や偏見、忌避意識などにより、感染者とその家族等に対する不当な差別、いじめ、SNS等での投稿や書き込み、誹謗中傷、家屋への投石等が問題となっている。また、行動履歴の公表による風評被害等も断じてあってはならない。県内市町村や県警ともしっかりと連携して対策を強化するとともに、人権啓発活動を一層強化すること。

2.医療関係者や高齢者福祉施設等で働く人の家族等に対する差別や偏見による、配偶者の出勤拒否や子供の通園拒否等の事態は断じて発生してはならない。子供の預け先が無くなることで、医療従事者等が自宅待機、休職又は離職をせざるを得ないような状況が決してないよう対応を徹底すること。また、医療従事者をはじめ、新型コロナウイルスへの感染リスクと隣り合わせで働いている人々への敬意と感謝への啓蒙・啓発活動をより一層展開すること。

3.新型コロナウイルスに関する情報発信を強化するとともに、デジタル環境のない人にも周知するため、新聞や広報紙なども活用して行うこと。

4.新潟県ホームページでは県の新型コロナウイルス感染症対策支援として事業者向け、個人向けそれぞれ掲載されているが、県内市町村もそれぞれ上乗せ支援を始めている。県ホームページで各市町村支援も検索できるようワンストップサービス体制の情報発信強化を行うこと。

5.依然として県外からの移動者に対する不安の声が多い。県外からの移動者を抑止し県民の安心を担保するために、新幹線の駅、高速道路のインターチェンジ、県境の幹線道路等で体温測定等を可能な範囲で実施するなど、水際対策を強化すること。